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白川 敏彦*; 金澤 康夫*; 畑中 耕一郎
JNC TN8400 2001-012, 69 Pages, 2001/04
地層処分研究の天然バリア中の核種移行に係わる不均質岩盤中における巨視的分散現象を解明するために、多孔質媒体水理トレーサー試験装置(以下、「MACROII」と記す)を用いて、多孔質媒体槽内にガラスビーズを用いて不均質場を人工的に作成し、種々の条件を設定したうえで、数多くのトレーサー試験を実施してきた。今回は室内試験における分散長のスケール依存性を調べることを目的として、媒体槽を水平状態に固定し、不均質場の任意の位置に設置した単一孔を使用して注水・揚水型トレーサー試験を実施した。試験は、不均質場内に設置した注水・揚水型トレーサー試験に使用する単一孔の位置及び注入流量・注入時間を変えることによって、2地点において各々9ケース、6ケースの全15ケースを実施した。本試験で測定された揚水時の破過曲線を解析解でフィッティングし、巨視的分散長を算定した結果、15ケースのうち12ケースについて不均質場を代表する分散長を得ることができた。算定した分散長、注入・揚水流量および不均質特性の関連について検討した結果、以下の事項が判明した。・算定された分散長と単一孔周辺に広がった濃度フロントの平均半径との関係は、濃度フロントの平均半径が大きくなるにしたがって分散長がほぼ単調増加する傾向が確認できた。・トレーサーを注入・揚水する単一孔を2地点選び試験を実施したが、単一孔周辺の透水性が小さくなっている場合には分散長は大きくなり、単一孔周辺の透水性が大きくなっている場合には分散長は小さくなる傾向が確認された。・フィッティングの精度が悪く分散長が算出できなかった3ケースについては、濃度フロントに分散が著しく小さい箇所が存在する可能性があることがわかった。
藤井 俊行*; 山名 元*
JNC TJ9400 2000-003, 36 Pages, 2000/02
低除染でのリサイクルシステムにおいて設計上不可欠の情報である放射性核種の移行率に関する研究の一環として、放射能は低いがリサイクル燃料の性能への影響が多い元素であるモリブデンとパラジウムの、PUREX、TRUEX抽出条件下での分配特性を実験的に調べ、その化学的なメカニズムの同定を行った。吸光分光分析を抽出実験と並行することにより、抽出錯体種の同定および抽出メカニズムを検討した。この結果により、モリブデンとパラジウムのPUREX、TRUEX工程内での抽出移行および分配特性に関する知見を得た。
WILLIAM S.DERSHO*; 吉添 誠*
JNC TJ8440 2000-001, 408 Pages, 2000/02
本報告書は、平成11年度にGolder社が実施した亀裂ネットワークモデルと性能評価を記述するものである。本業務の主たる目的は、JNC殿の第二次取り纏め報告書用の性能評価に関わる技術面での支援並びに同性能評価のレビューを行うとともに、JNC殿のエスポ・プロジェクトにおける技術支援を実施することであった。性能評価面での主たる成果として、PAWorksパスウェイの解析、ソフトウェアの技術的記述、検証及び性能評価の可視化が挙げられる。エスポ・プロジェクトでの技術支援としては、Task4におけるTRUE-1岩体ブロック中吸着性トレーサーの移行に関わる予測モデル、並びにTask5におけるエスポ島の水理地質・地化学統計モデルの作成が含まれる。Golder社の平成11年度業務の詳細な情報は、本報告書の付属書に記されている。
古市 光昭*; 戸井田 克*; 升元 一彦*
JNC TJ8400 2000-021, 196 Pages, 2000/02
高レベル放射性廃棄物の地層処分においては、廃棄体の定置後、処分のために建設した地下構造物を埋め戻し材、プラグ材、グラウト材により閉鎖し、人工バリアの健全性を保つとともに廃棄体の隔離性能を長期にわたり確保する必要がある。そこで、わが国の地質環境条件に適応し得るこれら閉鎖システムの確立に資するため、室内試験および原位置試験を通じてこれらの性能を定量的に評価していくことが必要である。本年度は、カナダAECLにおいて開始したトンネルシーリング性能試験におけるトレーサー試験のデータ解析、数値解析に関わる技術的検討及びそれに伴うプラグ周囲のシーリングシステムとしての評価を行うと共に、第2次とりまとめの閉鎖技術に関わる有識者のコメントに対する検討を実施した。以下にその概要を示す。1)AECL地下研究施設において実施しているトンネルシーリング性能試験に係わる、1、トレーサー試験のデータ解決及び数値解析、2、蒸発散量測定のデータ解決、3、ワークショップに関わる資料作成、の項目についての検討を行った。2)第2次とりまとめのドラフトに対して指摘のあった横締固めの機械及び手順についての説明とコンクリートプラグ部の岩盤耐力の検討を行った。
戸井田 克*; 升元 一彦*; 中村 充利*; 奥津 一夫*; 三浦 和彦*
JNC TJ8400 2000-020, 68 Pages, 2000/02
高レベル放射性廃棄物の地層処分においては、廃棄体の定置後、処分のために建設した地下構造物を埋め戻し材、プラグ材、グラウト材により閉鎖し、人工バリアの健全性を保つとともに廃棄体の隔離性能を長期にわたり確保する必要がある。そこで、わが国の地質環境条件に適応し得るこれら閉鎖システムの確立に資するため、室内試験および原位置試験を通じてこれらの性能を定量的に評価していくことが必要である。本年度は、カナダAECLにおいて開始したトンネルシーリング性能試験におけるトレーサー試験のデータ解析、数値解析に関わる技術的検討及びそれに伴うプラグ周囲のシーリングシステムとしての評価を行うと共に、第2次とりまとめの閉鎖技術に関わる有識者のコメントに対する検討を実施した。以下にその概要を示す。1)AECL地下研究施設において実施しているトンネルシーリング性能試験に係わる、1、トレーサー試験のデータ解決及び数値解析、2、蒸発散量測定のデータ解決、3、ワークショップに関わる資料作成、の項目についての検討を行った。2)第2次とりまとめのドラフトに対して指摘のあった横締固めの機械及び手順についての説明とコンクリートプラグ部の岩盤耐力の検討を行った。
田中 正暁; 小林 順; 上出 英樹
JNC TN9400 2000-026, 70 Pages, 1999/11
ポーラス状閉塞物内の熱流動特性を調べる基礎研究として、燃料集合体内の4つのサブチャンネルを模擬し、3本のヒータピンに囲まれた中心サブチャンネルに閉塞物を設置した基礎水流動試験を実施している。温度分布測定試験および解析結果から閉塞物内部には水平方向の流れが存在し、この流れが閉塞物内部の温度分布に大きな影響を及ぼしていることが明かとなっている。そこで、ポーラス状閉塞物周りの流動場を把握するために、トレーサ法により可視化実験を行った。その結果、(1)閉塞物側面に循環渦が生じ、閉塞物下端から流入した冷却材が閉塞物内部を通り健全サブチャンネルへ流出すること、(2)閉塞物側面の循環流領域は流量の増加と共に下流側へ延び、循環渦内部では対流拡散が支配的であることが分かった。また、後流領域においては、(1)閉塞チャンネルを囲む健全チャンネルからの3方向の流れ込みにより、流れが周期的に変動しており不安定性をもつこと、(2)閉塞物上端からの浸み出しあるいは巻き込みによって、冷却材が後流域に常に供給されることが分かった。さらに、大型炉条件(Re=5.910の4乗)での流動場について、可視化試験結果を外挿して予測した。本結果は解析手法の検証に用いられると共に大型炉でのポーラス状閉塞事象評価に反映される。
神野 健二*; 中川 啓*; 細川 土佐男*; 畑中 耕一郎*; 井尻 裕二*; 吉田 隆史*; 亘 真吾
PNC TY1606 98-001, 54 Pages, 1998/03
核種移行パラメータの1つである分散係数は、数多くの原位置試験結果より地層の不均質性の影響を受けスケール依存性を示すことが知られており、評価スケールに応じた分散係数を設定することは地層処分システムの性能評価上重要な課題となっている。ところが、原位置での測定には限界があるために分散係数のスケール依存性に関しては未だ十分に解明されておらず、これまでに成層構造を持つ地層に対する理論的な研究があるだけである。そこで、動燃事業団では、不均質多孔質媒体トレーサ試験設備(略称MACRO)を用いて人工的に作成した不均質場においてトレーサ試験を実施し、不均質場が分散現象に及ぼす影響について研究を進めてきた。特に、昨年度の共同研究では動燃事業団と九州大学の保有するコードを用いてシミュレーション解析を実施し、解析結果の比較によりそれぞれのコードの適用性を明らかにしている。本年度は、新たに作成した不均質場において単孔式のトレーサ注水・揚水実験を実施し分散長を測定し、不均質特性が分散現象に及ぼす影響について検討を行った。一方、昨年度の研究において適用性を確認した計算コードを用いて数値シミュレーションにより不均質多孔質媒体中のトレーサ挙動を解析し、不均質特性とそれに起因する分散現象について検討を行った。トレーサ注水・揚水試験により測定した分散長を検討した結果、本試験が場の不均質性に起因する巨視的分散現象を検討する上で有効であることを確認した。また、数値シミュレーションにより不均質場におけるトレーサ移行挙動を検討した結果、不均質場の確率統計的特性を代表するパラメータとして用いた積分特性距離と巨視的分散係数の関係についての知見を得た。
下茂 道人*; 山本 肇*; 高原 弘幸*; Doe, T.*
PNC TJ1205 98-001, 255 Pages, 1998/03
花崗岩に代表される結晶質岩中の水理・物質移行には、割れ目の分布や連続性が大きく係わっていることが知られているが、その定量的な評価に必要な原位置試験データの蓄積は十分とはいえない。そこで、本研究では、釜石鉱山550mレベルの約100m60mの領域を対象として、割れ目調査、水理試験および比収着性トレーサーによる原位置トレーサー試験を実施した。平成6年度は、水理地質構造調査の一環として、100mのボーリング孔(KH-20孔)の掘削と既存のKH-19孔での圧力応答観測、およびボーリング孔の水理地質調査を行った。平成7年度は、引き続き3本のボーリング孔(KH-23孔、KH-21孔、KH-25孔、各80m)を掘削し、削孔時の既存孔における圧力応答観測およびボーリング孔の水理地質調査を行なうとともに、KH-25孔の簡易単孔透水試験を実施した。平成8年度は、試験区域の中央および西側境界に2本のボーリング孔、KH-24孔およびKH-22孔(各80m)を掘削しトレーサー試験に必要なボーリング孔配置を完成させた。また、孔間透水試験及び予備的トレーサー試験を実施し、その結果をもとにトレーサー試験の実施対象とする透水割れ目を抽出した。その後、それまでに得られた地質データおよび水理試験データを総合的に評価して、マルチパッカーシステムの更新を行なった。最終年度となる本年度は、試験対象割れ目(単一割れ目2箇所、亀裂ネットワーク部1箇所)において、非吸着性トレーサー試験を実施した。また、得られた試験結果について準理論解を用いた解析を行ない、透水性割れ目の水理物質移行パラメータを評価した。また、これと並行して、平成8年度に動燃殿が実施した孔間透水試験結果の解析的な検討を行ない、試験対象エリアの水理地質構造について考察した。
石川 勇
Radioisotopes, 46(9), p.657 - 663, 1997/09
RI・放射線の産業利用の現状を把握し、利用の活性化及び標準化を図るために、日本アイソトープ協会理工学部会内に設けられた「放射性同位元素等の産業利用専門委員会」で討論された資料とともに、原研における産業界との共同研究の現状を紹介し、多くの人の理解を得る資料である。内容は、外部の人が原研の施設や制度を利用するための情報と利用開発室における産業界との共同研究の実施例として、(1)非破壊検査に関する事例、(2)放射線応用計測法に関する事例、(3)トレーサ利用技術に関する事例について紹介する。
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PNC TN1430 97-004, 85 Pages, 1997/08
事業団は、大学との研究協力の推進を図るため、平成6年度に大学との研究協力のあり方等を検討した。その審議結果に基づき、平成7年度から、先行基礎工学研究協力制度を発足させ、2年目を迎えた。先行基礎工学研究協力制度は、事業団の施設を主に利用した原子力工学分野に関する基礎的研究を大学との研究協力により推進することを目的とする。この制度は、事業団が設定した研究協力テーマに対して、大学側からの研究協力課題、研究者の応募をもとに、応募された研究協力課題を選考し、大学との共同研究の設定、客員研究員の受入れ、研究生の受入れ等により研究協力を実施してきた。本報告書は、平成8年度に実施した高速増殖炉関係及び環境技術関係の先行基礎工学分野に関する20件の研究協力課題の実施結果の概要をまとめたものである。
下茂 道人*; 山本 肇*; 高原 弘幸*; 根木 健介*; Doe, T.*
PNC TJ1205 97-001, 297 Pages, 1997/03
本研究の目的は、結晶質岩中における水理地質構造モデルを構築することであり、このための物質移行経路となる透水割れ目の分布および連結性を試錘孔掘削等の水理応答観測、ボアホールテレビ検層、コア観察等の調査により把握するとともに、水理試験、非収着性トレーサー試験を行い、水理・物質移行パラメータを取得することである。平成6年度は、この非収着性トレーサー試験を実施するための準備の初年度の作業として、100mのボーリング孔(KH-20孔)の掘削とこれに伴う既存のKH-19孔での圧力応答観測、およびボーリング孔の水理地質調査を行うことによりKH-19孔とKH-20孔間の水理地質構造を推定した。平成7年度は、平成6年度に引き続き3本のボーリング孔(各80m)を掘削し、ボーリング孔掘削時の既存孔における圧力応答観測およびボーリング孔の水理地質調査、簡易的な水理試験を実施し、平成6年度に取得されたデータとともに総合的に解析して試験対象領域の水理地質構造モデルを検討した。平成8年度は、新たに2本のボーリング孔、KH-24孔およびKH-22孔(各80m)を掘削しトレーサー試験に必要なボーリング孔配置を完成させるとともに、トレーサー試験用にマルチパッカーシステムのパッカー配置と配管を更新した。また、トレーサー試験対象割れ目の水理物質移行特性を概略的に把握するために孔間透水試験ならびに予備的トレーサー試験を組み合わせて実施し、平成9年度に実施する非収着性トレーサー試験に用いる透水性割れ目を抽出した。
中嶋 英雄*; 野中 勝彦*
PNC TJ1638 96-001, 60 Pages, 1996/03
地層処分の人工バリアの一つであるガラス固化体からの放射性核種の長期的な放出量を予測することは性能評価上不可欠である。Csなどの可溶性元素の放出量はその浸出挙動に依存しており、長期的な浸出挙動に関する情報を必要としている。今年度はガラス固化体からCsの浸出挙動とNaおよびBの浸出挙動の違いに関する基礎的情報を得ることを目的として、トレーサー法とイオンビームスパッタセクショニング法を併用することにより温度範囲713K-818Kにおける模擬ガラス固化体内のCsの拡散係数を測定し、Naの拡散係数ならびに浸出試験の結果と比較した。その結果、ガラス遷移温度(Tg)以下のアモルファス領域における模擬ガラス固化体内のCsの拡散係数はNaのそれと比較して7桁程度小さいことが明らかとなった。これらの結果に基づいて考察すると、Csの浸出挙動とNaおよびBの浸出挙動の違いは、ガラス固化体内におけるそれぞれの元素の拡散係数の差に関係する可能性が示された。
米沢 仲四郎*; 松江 秀明*; 安達 武雄*; 星 三千男*
PNC TJ1500 96-001, 371 Pages, 1996/03
平成5年度及び6年度に引き続きJRR-3Mの冷中性子ビームを使用した中性子即発線分析(PGA)により、人工バリア材料中の30Si同位体分析法の検討を行った。本年度は、1)28Si、29Si、30Siの各濃縮同位体の測定により、各同位体のPGA基礎データを求め、2)30Si拡散試験用試料調製法について、試験片を浸せき液をろ紙上に蒸発乾固する方法の検討を行い、28Si、29Si、30Si各同位体の検出限界を明らかにした。さらに、3)ケイ砂混合ベントナイト中のSiコロイドの透過を模擬したAuコロイド透過試験試料中のAuの定量を行い、Auコロイドは殆ど透過しない事を明らかにするとともに、4)海外における関連分野の研究状況を調査した。
向井 悟*; 北尾 秀夫*; 立川 博一*; 房枝 茂樹*; 柳澤 一郎*; 土井 基尾*; 浜崎 学*
PNC TJ1216 96-003, 106 Pages, 1996/03
ニアフィールド性能の定量化には、処分環境で生起する現象のモデル化、使用データの信頼性の向上及びそれらモデルやデータの統合の他、モデル、データの履歴、解析内容のトレース等が可能な品質管理体系の構築が必要である。このため、本研究では性能評価手法の統合的な運用を進めていくため、以下の検討を実施した。(1)速度論的吸着特性を考慮した物質移行モデルの開発及びトレーサー試験解析・速度論的吸着モデルに関する文献調査の結果、吸着性トレーサであるCs、Srは、Frenudlich型の吸着を示すことが分かった。・吸着速度を考慮して物質移行のモデル化を行ない、吸着速度定数及びFrenudlich定数の違いによる物質移行量への影響を把握することができた。・吸着性トレーサ試験のデータを用いた解析の結果、Naは線形吸着モデルで説明できるがSr、Rb、Csについては吸着速度を考慮することで、大略破過曲線を説明することができた。(2)Uの溶解度制限固相の変遷に関する研究・UO2(am)は、十分にUO2(cr)まで結晶化した。UO2(cr)の溶解度は、10-1010-9Mになると推定された。・乾式法でUO2(cr)が合成されたが、固相表面は、活性で溶解度が高いことが示された。(3)性能評価手法の統合的運用のための品質管理システムに関する研究
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PNC TJ1216 96-002, 387 Pages, 1996/03
ニアフィールド性能の定量化には、処分環境で生起する現象のモデル化、使用データの信頼性の向上及びそれらモデルやデータの統合の他、モデル、データの履歴、解析内容のトレース等が可能な品質管理体系の構築が必要である。このため、本研究では性能評価手法の統合的な運用を進めていくため、以下の検討を実施した。(1)速度論的吸着特性を考慮した物質移行モデルの開発及びトレーサー試験解析・速度論的吸着モデルに関する文献調査の結果、吸着性トレーサであるCs、Srは、Frenudlich型の吸着を示すことが分かった。また、吸着平衡に達するまでには数10hr要し、Csの方がSrよりも平衡に達するまでに時間を要することが分かった。・吸着速度を考慮して物質移行のモデル化を行ない、吸着速度定数及びFrenudlich定数の違いによる物質移行量への影響を把握することができた。・吸着性トレーサ試験のデータを用いた解析の結果、Naは線形吸着モデルで説明できるがSr、Rb、Csについては吸着速度を考慮することで、大略破過曲線を説明することができた。(2)Uの溶解度制限固相の変遷に関する研究・UO2(am)は、十分にUO2(cr)まで結晶化した。UO2(cr)の溶解度は、10-1010-9Mになると推定された。・乾式法でUO2(cr)が合成されたが、固相表面は、活性で溶解度が高いことが示された。・Dr、Raiの報告によると結晶である238PuO2は、1,266日でアモルファスに変遷するが、本解析においては、その現象が半年2年で顕著に起こる。(3)性能評価手法の統合的運用のための品質管理システムに関する研究等
下茂 道人*; 山本 肇*; 高原 弘幸*; 根木 健之*; Doe, T.*
PNC TJ1205 96-003, 340 Pages, 1996/03
本研究の目的は、結晶質岩中における水理地質構造モデルを構築することであり、このための物質移行経路となる透水性割れ目の分布および連結性を試錘孔掘削時の水理応答観測、ボアホールテレビ検層、コア観察等の調査により把握するとともに、水理試験、非収着性トレーサー試験を行い、水理・物質移行パラメータを取得することである。平成6年度は、試験の準備段階として、100mのボーリング孔(KH-20孔)の掘削とこれに伴う既存のKH-19孔での圧力応答観測、およびBTV観察、コア観察、流量検層等を実施し、KH-19孔とKH-20孔間の水理地質構造を推定した。平成7年度は、調査対象領域を広げると共に、試験の中心となる領域の水理地質構造をより詳細に把握するために、平成6年度に引き続き3本のボーリング孔(KH-21、KH-23、KH-25孔)を掘削し、既存ボーリング孔での圧力応答観測およびボーリング孔の水理地質調査を行なった。これらのボーリング孔では、BTV観察および岩芯観察による割れ目特性の把握を行なった。また、最後に削孔したKH-25孔においてビルドアップ透水試験を行った。これらの調査試験により得られた、亀裂分布、水圧分布、水圧応答経路から、平成6年度の結果を見直し、試験エリアの岩盤内の詳細な水理地質構造モデルを構築した。
石川 勇
Proc. of 11th KAIF/KNS Annual Conf., 0, p.611 - 619, 1996/00
日本原子力研究所、アイソトープ部が、民間企業、公的機関、原研の基礎研究グループと協同で開発した、Cf線源を用いる中性子応用技術のうち、いくつかの注目すべき応用例についての報告である。1)高精度コークス水分計として、Cfからの中性子とガンマ線の同時透過測定をパルス波形弁別技術により実現した。2)中性子吸収トレーサ技術を石炭液化実験プラントにおいて、石炭スラリーの流れの観測のために採用した。3)中性子の多重散乱や十分な熱化によって、鉄板ではさまれたプラスチックフィルムの厚さ計を開発した。4)原研で開発された中性子イメージングプレートの応用技術に関することなどの内容を紹介した。
下茂 道人*; 高原 弘幸*; Thomas*
PNC TJ1205 95-004, 170 Pages, 1995/05
本研究の目的は、結晶質岩中における水理地質構造モデルを構築することであり、このための物質移行経路となる透水性割れ目の分布および連結性を試錘孔掘削時の水理応答観測、ボアホールテレビ検層、コア観察等の調査により把握するとともに、水理試験、非収着性トレーサー試験を行い、水理・物質移行パラメータを取得することである。平成6年度は、試験の準備段階として、1)試験対象エリアの水理地質学的構造を把握するためにKH-20孔(孔長100m)を掘削した。その際、KH-19孔に圧力トランスデューサーを設置し、KH-20孔掘削中のKH-19孔への圧力応答を連続観測した。2)KH-20孔においてボアホールテレビ検層、コア観察、流量検層を実施し、透水性割れ目の位置および水理特性を推定した。また、KH-19孔においても流量検層を実施した。3)KD-90坑道北側に新たに掘削されたアクセス坑道から、KH-19KH-20孔に水理試験・トレーサー試験用のパッカー装置を設置した。その結果、KH-20孔掘削中に、KH-19孔内で5箇所の水圧応答が観測された。また、ボアホールテレビおよびコア観察結果との比較により、透水性亀裂の位置をある程度絞り込むことができた。
野田 兼司; 内田 雅大
PNC TN8410 94-335, 13 Pages, 1994/10
岩盤内の亀裂を流れる地下水及び核種の移行挙動を解明するために,注排水側の測定だけでなく,亀裂面内での圧力分布,トレーサ濃度分布も測定できる設備を試作した。この設備は,垂直荷重負荷・制御装置,透水・トレーサ圧負荷・制御装置,計測装置,データ収録・処理装置から構成され,圧力・濃度・温度の各センサが設置されている。この装置を用いて,平滑な亀裂面を有する岩体と凹凸を有する岩体の二つについて透水・トレーサ試験を実施し,次の結果を得た。1)亀裂の透水性は亀裂に垂直に作用する荷重により変化する。2)物質移行にかかわる亀裂開口幅と三乗則から求められる水理学的開口幅との関係は,平滑面を持つ亀裂では56倍になる。3)同じく凹凸面を持つ亀裂では99.5倍になる。
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PNC TN8410 94-269, 77 Pages, 1994/07
本論は、Aspo Hard Rock Laboratoryで行われた、LPT-2大規模揚水・トレーサー試験の亀裂ネットワークシミュレーション結果をまとめたものである。本研究は、地下水流動と物質移動研究に係る国際共同研究プログラム「Aspo Task Force」のもとに実施された。シミュレーションには、個々の亀裂を三次元空間に発生させ、それが構成する亀裂ネットワーク構造をモデル化可能な亀裂ネットワークコードFracManを用いた。シミュレーション領域は、Aspo島南部の揚水孔を中心とする一辺約1kmの立方体である。亀裂モデルは主に2つのタイプの亀裂群から構成される。一つはfracture zones(破砕帯)であり、その位置、方向はSKBによるAspoサイトの概念モデルに基づいて設定した。他方はfracture zones以外の亀裂であり(non-zone fracturesと呼ぶ)、統計的に発生させた。それぞれのグループの亀裂の幾何学と水理学的特性の決定にあたっては、SKBのデータベースを基に解析した。non-zone fracturesの亀裂の長さについては、別途筆者らが独自に行った地表露頭の亀裂マッピングデータを基に設定した。一辺が1kmの立方体領域に分布する全ての亀裂をモデル化することは不可能であり、したがって、亀裂分布の母集団から水理学的に重要な亀裂のみを抽出しモデル化した。1993年の3月と9月に行われた2回のTask Force Mcetingにおいて、それぞれ異なったモデルを使用した。3月モデルでは、厚さ10mの平板内に直径30mの亀裂を分布させfracture zonesとした。9月モデルでは、各fracture zoneを1枚の平板で代表させ、その平板を20m30mスケールの要素に離散化し、地球統計法に基づいて不均質に透水係数を割り当てた。また、9月モデルでは、ボーリング孔における透水量係数の実測値を再現できるよう条件付けした亀裂発生(conditioning)も行った。3月モデルは破砕帯内における亀裂の連結性をより現実的にモデル化しているが、数値解法上は9月モデルがより効率的である。どちらのモデルも、揚水試験時の非定常の圧力変化と水位低下のシミュレーションに用いた。トレーサー試験シミュレーションは9月モデルのみを用いて行った。シミュレーシ